アレルギー科ALLERGOLOGIA

保健省ホームページによると、イタリア人の10.7%の人が何らかのアレルギー疾患をもつとみられ、ミラノの日常生活でもよく耳にする大変一般的な疾患といえます。伊統計局ISTAT2008年調べによると、0~14歳でアレルギー疾患をもつ人は9.6%(喘息除く)、15~24歳では13.2%となっています。小児では食物アレルギーが5~8%で、成人の1~2%に比べて高くなっています。

家族にアレルギー体質の人が多ければ、その子がアレルギー反応を起こすリスクが高くなりますが、近年イタリアでも急激に患者数が増えたことから、大気や生活の衛生化などの環境も大きく関わっていることが考えられています。

幼稚園や学校へは、医師の診断書を提出すれば、給食や教育活動で比較的ていねいに配慮してくれます。学校給食は味やメニュー、衛生面でよく問題になりますが、大きなアレルギーの事故はあまり聞きません。まれに外食時のジェラートなど摂取後に、複数の臓器や全身的にアレルギー反応を呈すアナフィラキシーショック反応を起こす事故が起こりニュースになります。

アレルギーの原因

イタリアでもだいたい同じです。食物や薬品による食餌性INGESTIONE、ゴム、金属、化粧品などによる接触性CONTATTO、花粉、ほこり、ダニ、かびなどによる吸引性INALAZIONE注射や虫刺されPUNTURA等です。

食餌性 INGESTIONE

・食物         ALIMENTI
・薬品         FARMACI
・添加物      ADDITIVI

吸引性 INALAZIONE

・花粉         POLLINE
・ほこり      POLVERE
・ダニ          ACARI
・カビ          MUFFE
・動物          ANIMALI

接触性 CONTATTO

・ラテックス   LATTICE
・金属              METALLI
・化粧品          COSMETICI

注射や虫刺され PUNTURA

・予防注射       VACCINAZIONI
・ハチ刺され    PUNTURA DI IMENOTTERI

アレルギー反応

皮膚CUTANEO(湿疹など)、呼吸器NASALE BRONCHIALE(喘息、鼻炎)、視器官OCULARE(結膜炎)、消化器APPARATO DIGERENTE(下痢、嘔吐、腹痛)などに発症します。

A LIVELLO OCULARE

・充血           OCCHIO ROSSO
・かゆみ        PRURITO
・流涙            LACRIMAZIONE
・結膜炎        CONGIUNTIVITI

A LIVELLO NASALE

・くしゃみ      STARNUTI
・かゆみ          PRURITO
・水鼻分泌物   SECREZIONE ACQUOSA
・鼻づまり       CONGESTIONE NASALE
・鼻炎              RINITE

気管 A LIVELLO BRONCHIALE

・咳                   TOSSE
・息切れ            RESPIRO CORTO
・喘鳴                RESPIRO SIBILANTE
・気管支ぜんそくASMA BRONCHIALE

皮膚 A LIVELLO CUTANEO

・かゆみ                  PURURITO
・アトピー性皮膚炎DERMATITE ATOPICA
・蕁麻疹                  ORTICARIA

消化器 A LIVELLO DELL’APPARATO DIGERENTE

・のどの掻痒感PURURITO A BOCCA
・口蓋の腫れ   GONFIORE AL PALATO
・腹部けいれんCRAMPI ALLO STOMACO
・吐き気          NAUSEA
・嘔吐              VOMITO
・下痢              DIARREA

全身 TUTTO ORGANISMO

・アナフィラキシーショックSHOCK ANAFILATTICO
・血管性浮腫   ANGIOEDEMA
・声門浮腫      EDEMA DELLA GLOTTIDE
・意識不明      PERDITA DI CONOSCENZA
・窒息             SOFFOCAMENTO

1.イタリア食物アレルギー事情 ALLERGIE ALIMENTARI

2006年の欧州内電話リサーチによると、イタリア人では、自分で思い込んでいる人も含めて、3.6%の人が食物アレルギーだと回答したそうです。果物(内のべ27.6%)、野菜(20.7%)、牛乳(20%)、豆類(15.9%)ほか、小麦、ナッツ類、肉、甲殻類、卵、魚などを原因食物だとしています。

2014年3月の保健省食物アレルギー冊子によると、いろいろなデータより約3%のイタリア人が食物アレルギーをもつとしています。特に0~2歳児では6~8%小児期全体平均では5%と高くなっています。

原因食物では、野菜や果物などの植物由来が72%甲殻類貝類13%、魚4%、卵3%、牛乳3%、穀類2%で、重篤な反応は甲殻類や貝類、穀類や卵、ゴマ、ほうれん草やアボガドなどで起きています。日本で多い卵や牛乳アレルギーはやや少ないようですが、イタリアでも乳幼児では牛乳や卵、穀類、大豆、魚、ピーナッツが原因食物の90%を占めます。

花粉症合併食物アレルギー型反応は食物アレルギーの5%程度です。もも、りんご、杏、サクランボ、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、くるみなどが、花粉症に合併して交差反応します。

そばアレルギーの人はイタリアではあまりいませんが、そば粉はパスタ、クレープ、ケーキなどにときどき使われるので注意が必要です。

臨床型で次のように分類しています。

IgE依存性の症状分類 IgE MEDIATI

・アナフィラキシーショック SHOCK ANAFILATTICO
通常2時間以内に出現する即時型で、全身的な反応、意識障害や血圧低下を起こす危険な反応です。原因食物はさまざまですが、特にピーナッツ、ヘーゼルナッツ、えび、魚類、牛乳、卵が多いそうです。日本ではこれらに小麦やそばが入ります。

・じんましん、血じんましん管性浮腫 ORTICARIA、ANGIOEDEMA
皮膚のかゆみや湿疹、唇や眼瞼の腫れ、粘膜の炎症などの症状で、どんな食物も原因食物となり得ます。幅広い年齢で起こりますが、小児期に多いとあります。

・食物依存性運動誘発アレルギー MANIFESTAZIONI ALLERGICHE ASSOCIATE AD ESERCIZIO FISICO DOPO CONSUMO DI UN ALIMENTO
原因食物を摂取したあと運動をすることで誘発される反応で、かゆみ、倦怠感、血圧低下などの症状が引き起こされます。青少年期に蒸し暑い環境下で起こることが多いそうです。非ステロイド抗炎症剤などの服用も誘因になるとしています。原因食物を摂取してしまったら、4~6時間は運動を控えるようにします。リスクのある人は準備体操を行い、気分が悪いようならすぐ手当をする必要があります。

・呼吸器症状 DISTURBI RESPIRATORI
成人では少ない症状ですが、乳幼児期に牛乳に反応して起こることが多いそうです。鼻炎や喘息発作の症状はアナフィラキシー反応の前兆に起こることがあります。このような形の反応は小麦で多く、その他牛乳が原因食物となっていることもあります。

・口腔アレルギー症候群 SINDROME ORALE ALLERGICA(SOA)
おもに口唇や口腔部位だけに浮腫やかゆみを発症するタイプです。花粉症に合併することが多く、特にシラカバ(BETULLA)花粉症の人がりんごと交差反応しやすいとあります。ただ全身反応に移行することは稀なようです。

・消化器症状 DISTRUBI GASTROENTERICI
IgE依存型で消化管中心に反応を起こすタイプ。激しい腹痛、下痢、嘔吐といった腹部にアナフィラキシー症状を呈すこともあります。また、非IgE依存型の慢性腸炎のような反応を呈すタイプもあります。

IgE+細胞依存混合性の症状 MISTI IgE E CELLULO-MEDIATI

アトピー性皮膚炎 DERMATITE ATOPICA
幅広い年齢層で、身体の様々な部位に症状が出ます。同じ人でも、子供のころに主に皮膚炎(じんましん)のあった人が、大人になって呼吸器の炎症(気管支喘息)に移行することがしばしばあります。その他消化管のアレルギー反応を起こす場合もあります。小児期に食物アレルギーをもつ人は約35%で、特に卵、牛乳アレルギーが多いですが、アレルギーだと思い込んでいるだけのことも多く、必ずきちんと検査を受け、安易に食物を除去することは避けます

好酸球性胃腸炎 GASTROENTEROPATIE EOSINOFILE
反応が起こる器官によって症状が変わります。食道でおこれば痛みや嚥下障害、腸管で起これば下痢や腹痛、体重減少や腸閉塞を呈すこともあります。どの食物、年齢でも起こり、症状が長引くことが多いそうです。

 

細胞依存性(非IgE依存性)の症状分類 CELLULO MEDIATI

食物タンパクによるアレルギー性腸炎 ENTEROCOLITE ALLERGICA DA PROTEINE ALIMENTARI (FPIES)
主に新生児、乳児期に起こす反応ですが、多くは寛解します。原因食物の摂取を続けると下痢嘔吐を繰り返し、体重減少や成長障害の原因になることがあります。頻度の高い食物は牛乳、大豆、米などです。約20%は激しい下痢嘔吐で脱水症状や血液減少など危険な状態となるので注意が必要です。摂取後2~3時間で反応します。

食物タンパクによる直腸炎 PROCTITE DA PROTEINE ALIMENTARI
胃腸炎と合併して起こり、血便や粘液便が特徴です。原因食物は牛乳のことが多いようです。

 

原因食物を次のように分類しています。

植物由来アレルゲン ALLERGENI VEGETALI

穀類 CEREALI
小麦などのグルタジンやα-アミラーゼなどがアレルゲンタンパク質で、耐熱性の高いタンパク質が多く、加熱してもアレルギーの起こしやすさは変わりません。

イタリアこんな食材にも注意 そば粉入りパスタ、お菓子、パン

ピーナッツ ARACHIDE
イタリアでも耐性獲得の可能性が低く、アナフィラキシーショック反応を起こしやすい食物です。加熱や加工したピーナッツバター、ピーナッツ粉でも反応します。一方精製したピーナッツ油ではほとんど発症しません。その他の木の実(くるみ、ヘーゼルナッツなど)や豆類と交差反応を起こすことがあります。

大豆 SOIA
牛乳アレルギーの人が豆乳を摂取することが多いですが、大豆も原因食物となり得るので要注意です。牛乳アレルギーの人の14~35%が大豆アレルギーです。加熱しても反応の出やすさは変わりませんが、精製された大豆油は問題ないことが多いようです。

ナッツ類 FRUTTA A GUSCIO
アーモンド、くるみ、ヘーゼルナッツ、カシューナッツ、ピスタッチオなど。豆類との交差反応があります。

イタリアこんな食材にも注意 お店のジェラートは入っていないとしていても、ナッツ類が混入しているリスクがあります。

セロリ、ゴマ、マスタード SEDANO,SESAMO,SENAPE
シラカバの花粉症やりんごにんじんとの交差反応が知られている。ゴママスタードも外国食材を使うようになりアレルギーの人が増えている。ゴマ油はアナフィラキシー反応を起こすことがある。

イタリアこんな食材にも注意 イタリアではセロリアレルギーの人が多いので要注意です。

動物由来のアレルゲン ALLERGENI DI ORIGINE ANIMALE

牛乳 LATTE
牛乳育児用ミルクで乳児期のアレルギー原因食物。2~7%の乳児が牛乳アレルギーとみられます。耐熱性が高いので加熱してもアレルギーの起こしやすさは変わりません。多くはイタリアでも3歳ごろまでに寛解します。母乳栄養でなければ、カゼイン(CASEINE)乳清タンパク質(SIEROPROTEINE)を加水分解したアレルギー用ミルク(LATTE IDROLIZZATO)を飲ませるように指示がありますが、必ず医師の診断のもとにミルクを選ぶようにします。家庭の判断でアレルギー用ミルクやヤギのミルクをあげてみてはいけません。また、消化ができない乳糖不耐症と牛乳アレルギーを混同していることが多いようです。

イタリアこんな食材にも注意 サラミに含まれる乳成分、ワインに含まれるカゼイン

卵 UOVA
イタリアでも乳幼児期に多いアレルギーの原因食物です。卵白で反応を示すことが多いですが、卵白卵黄の完全分解は不可能なため卵黄でも反応します。熱分解するので、固ゆでした卵だと反応を起こさない人もいます。卵はいろんな食品に使われているので、原材料を小まめにチェックします。

 PESCI
成人のアレルギー原因食物に多いようです。魚は多種で特定することが難しいのですが、タラとサケではパルブアルブミンというタンパク質に反応することが分かっています。魚のフライと同じを使ったフライドポテトで反応が出る場合もあります。

イタリアこんな食材にも注意 お菓子に使われる魚ベースのゼラチン

甲殻類、貝類 CROSTACEI,MOLLUSCHI
成人のえびアレルギーが一番よく知られています。トロポミオシンというタンパク質が判明していますが、耐熱性があり、生でも火を通しても反応が出ます。同じ甲殻類のカニやいかの他、ピーナッツ昆虫と交差反応を起こすことがあるそうです。

イタリアこんな食材にも注意 エスカルゴはアナフィラキシー反応を起こすこともあるので要注意

~食物 ALIMENTARI~

・穀物    CEREALI
・小麦    GRANO
・そば    GRANO SARACENO
・とうもろこしMAIS
・米     RISO
・大豆    SOIA
・豆類    LEGUMI
・ナッツ類  FRUTTA A GUSCIO
・ピーナッツ ARACHIDE
・クルミ   NOCE
・ヘーゼルナッツ NOCCIOLA
・アーモンド MANDORLA
・ピスタチオ PISTACCHIO
・インゲン  FAGIOLINI
・セロリ   SEDANO
・にんじん  CAROTE
・りんご   MELE
・もも    PESCHE
・ごま    SESAMO
・マスタード SENAPE
・牛乳    LATTE VACCINO
・豆乳    LATTE DI SOIA
・ヤギミルク LATTE DI CAPRA
・加水分解ミルクLATTE IDROLIZZATO
・卵     UOVA
・卵白    ALBUME
・卵黄    TUORLO
・魚     PESCI
・タラ    MERLUZZO
・さけ    SALMONE
・甲殻類   CROSTACEI
・貝類    MOLLUSCHI
・えび    GAMBERO
・ロブスター AGAGOSTA
・かに    GRANCHIO
・エスカルゴ LUMACHE
・いか    SEPPIE
・魚介類   FRUTTI DI MARE
・魚ゼラチン GELATINA DI PESCE
・肉類    CARNE

食物アレルギーの診断 DIAGNOSTICA DELLE ALLERGIE ALIMENTARI

問診(ANAMNESI)のあと、まず皮膚テスト・プリックテスト(PRICK TEST)が行われることが多いです。たいてい前腕にアレルゲンを含む液を滴下し、少し皮膚に傷をつけて、マスト細胞の反応を調べます。アレルギー反応を起こしていれば、蚊に食われたときのように腫れてきます。何種類も同時に検査でき、安全な検査なので、どの年齢の人にも行うことができます。検査前は抗ヒスタミン、抗アレルギー薬などは中止します。

次に特定できないとき、血中抗原特異的IgE抗体検査(RAST,IMMUNO CAP,ISAC)で陽性反応が出るか調べます。陽性はIgE抗体をもっていることを意味し、アレルギーを起こす可能性を示唆しますが、反応のない場合もあります。吸引アレルギーの場合はプリックテストで十分診断可能ですが、食物アレルギーや抗ヒスタミン剤治療中などで診断が確定できない場合に抗体検査が有効です。最近は分子単位で調べることができ正確な診断が可能となりました。

確認のために疑わしい原因食物を除去して観察(TEST DI ELIMINAZIONE) したり、原因抗原の確定や耐性獲得の判断をするために少量ずつ摂食して症状をみる経口試験(TEST DI PROVOCAZIONE ORALE)が行われたりします。イタリアでも重篤な反応の対応ができる病院の専門科でのみ行われます。最終的には、専門的な検査と日常の食事や生活で実際に出た反応の情報を合わせて診断することが大切なようです。

~検査 TEST DIAGNOSTICI~

・問診、既往歴      ANAMNESI
・プリック・テスト              PRICK TEST
・プリック・プリックテストPRICK BY PRICK
・パッチテスト                      PATCH TEST
・血中特異的IgE抗体検査   TEST IMMUNOFLUOROENZIMATICO
(RAST)
・イムノキャップ                   DOSAGGIO IMMUNOENZIMATICO
(IMMUNO CAP)
・マイクロアレイ法    (IMMUNO CAP-ISAC)
・口唇負荷試験             TEST DI PROVOCAZIONE LABIALE
・経口負荷試験             TEST DI PROVOCAZIONE ORALE
・好塩基球活性化試験  TEST DI ATTIVAZIONE DEI BASOFILI
・除去試験                    TEST DI ELIMINAZIONE A SCOPO DIAGNOSTICO

アレルギー治療 TERAPIA

食物除去療法 DIETOTERAPIA DI ELIMINAZIONE

必要最小限の原因食物の除去を行います。除去の程度は個別に対応してもらい、栄養が不足しにないよう成長発達を定期的に観察してもらいます。

免疫療法(減感作療法)IMMUNOTERAPIA(DESENSIBILIZZANTE

原因食物を低濃度から体に取り込み、段階的に濃度を上げていって、過敏さを取り除こうとする治療ですが、研究段階で重篤な副反応も起こり得るので、専門の医療機関で慎重に取り組んでもらいます。

薬物療法

アレルギーの治療には、特効薬はなく、あくまでも補助療法です。下のような薬剤で症状を軽減したり、抑えたりします。必ず医師の指示に従って服用し、症状が安定したら医師に相談してから中止していく必要があります。

・抗ヒスタミン剤 ANTISTAMINICI
アレルギー反応時のヒスタミン産生を抑えます。内服薬PER USO ORALEや鼻スプレーSPRAY NASALI、点眼薬COLLIRIO、軟膏POMATAなど症状に合わせて使い分けます。日本と同じように花粉症にも処方されますが、内服薬は眠気の強いタイプもあるので運転にも問題のない確認しましょう。

・ステロイド薬 CORTICOSTEROIDI
炎症を抑えます。上と同じように、症状に合わせて剤形を使い分けるますが、スプレーSPRAYや吸入INALATORIタイプの方が、患部に限定するので副作用は最小限に抑えられます。軟膏POMATAは炎症のひどいところにのみ使います。

・ロイコトリエン阻害剤 INIBITORI DEI LEUCOTRIENI
上記二つの薬剤だけでは十分な効果が得られない場合、反応時のロイコトリエン産生を防ぐために投与されます。

・オマリジマブ OMALIZUMAB
重篤なアレルギー喘息で、上の薬剤のみでは不十分な場合に処方されます。皮下注射タイプで、血液のIgEに直接反応する薬剤ですが、非常に高価です。

・アドレナリン ADRENALINA
アナフィラキシーショック反応にはアドレナリン筋肉注射が投与されます。イタリアでもリスクが高い人には、自己注射ADRENALINA AUTOINIETTABILEを常に携帯するよう指示されます。緊急時の対応が書かれた医師の文書も携帯するよう言われます。病院によっては写真入りのものを出すこともあります。幼稚園や学校に提出すると、配慮してもらうことができます。

2.花粉症事情

イタリア北部でも2月からスギシラカバ、3月にはハシバミオリーブ、初夏にはイネ科、夏から秋にはブタクサと続きますから、ほとんど1年中花粉が飛散していることになります。天気のよい風のある日に、目のかゆみや鼻炎の症状がひどくなるのであれば、花粉症かもしれません。雨天の日には飛散量が減り、症状が軽くなります。
日本の本州では、花粉といえばスギ花粉症が問題となり、花粉のほとんどでないスギが植林されています。ミラノではスギより、ブタクサイネ科雑草の花粉アレルギーがよく取り上げられます。花粉防止対策としてマスクをする人はあまりいませんが、帰宅時の着替えやブラッシング、鼻スプレーや洗眼、点眼剤で花粉を流し、症状を抑えるよう勧められます。症状がひどいときには、抗ヒスタミン薬が投与されますが、眠気の強弱や期間や量などさまざまですので、医師の診断を受けてから服用するようにしてください。また近年、舌下免疫療法が取り入れられていて、季節の前に予防する人も増えています。アレルギー科でどの種類の花粉に反応しているか調べてから、受けることができます。

2015年6月21日までの花粉飛散状況、6月25日までの予報  パダーナ平原地域
6月中旬は、イネ科の飛散量が中レベル、スギ花粉、モクセイ科、カバノキ科、ハシバミ属花粉は低~なしのレベルでほんとんど飛んでいません。キク科ブタクサの花粉が低いレベルで飛散し始めています。アカザやシャゲンソウなどの雑草の花粉飛散が多くなっています。今後は全般に横ばいの予報です。

花粉別飛散量レベル
飛散レベルは花粉の種類によって違います。1㎥当たりの花粉飛散量とレベル

花粉種類 なし
イネ科graminaceae 0~1 1~10 10~30 >30
イラクサ科urticaceae 0~2 2~20 20~70 >70
モクセイ科oleaceae 0~1 1~ 5  5~25 >25
ブナ科fagaceae 0~1 1~20 20~40 >40
カバノキ科betulaceae 0~1 1~16 16~50 >50
キク科compositae 0~1 1~ 5  5~25 >25
ハシバミ属corylaceae 0~1 1~16 16~50 >50
スギ-ヒノキ科cupressaceae-taxaceae 0~1 1~30 30~90 >90

北イタリアのパダーナ平原地域の飛散時期めやす(年度や地域、種類によって多少違います。)

2月~3月
・スギ-ヒノキ科 スギcupressaceae-taxaceae cipresso
2月~4月
・カバノキ科 シラカンバbetulaceae betulla
3月~4月
・ハシバミ属 ハシバミ、シデcorylaceae nocciolo,carpino
・プラタナス科 platanacee
・ヤナギ科 ポプラ、ヤナギ、ハコヤナギsalicaceae pioppo,salice,populus
・マツ科pinaceae
3月~6月
・モクセイ科 オリーブ、トリネコ属oleaceae olivo,frassino
・ニレ科 ニレulmaceae olmo
4月~6月
・ブナ科 カシ、ブナfagaceae quercia,faggio
4月~7月
・イネ科 イネ科雑草graminaceae gramineae
4月~9月
・イラクサ科  いらくさurticaceae parietaria
7月~9月
・キク科 ブタクサ、ヨモギcompositae ambrosia,assenzio

~花粉症 allergie da pollini~

  • アレルギー性鼻炎  rinite allergica
  • 鼻のかゆみ     prurito al naso
  • 鼻水        naso gocciolante
  • くしゃみ      starnuti
  • アレルギー性結膜炎    congiuntivite allergica
  • 目のかゆみ             prurito agli occhi
  • ひりひりした痛み  bruciore
  • 流涙        lacrimazione degli occhi
  • 咳が続く                     tosse continua
  • 喘息                            asma
  • 鼻スプレー            spray nasale
  • 点眼剤         collirio
  • 抗ヒスタミン薬          antistaminico
  • 舌下免疫療法              immunoterapia sublinguale

◇花粉症のときに処方なしで購入できる薬品

鼻スプレー SPRAY NASALE
商品名ではTonimer spray やPhysiomerなどで、生理食塩水の鼻洗いタイプや、鼻血管収縮剤decongestionanti nasaliが配合されているタイプがある。乳幼児用はスプレーの噴射口の先が柔らかくなっている。

目薬COLLIRIO
商品名ではIsomar やEuphraliaなどで、点眼分包使い捨てタイプもある。人工涙タイプや炎症止め配合などのタイプがある。

その他オメオパシー薬をおいている薬局では
Pollensì(粒状)、Luffa(錠剤、鼻スプレー)、R97(鼻スプレー)など

◇抗ヒスタミン薬について

症状がひどいときには、抗ヒスタミン薬(antistaminico)が投与されますが、眠気の強弱、期間や量などさまざまですので、医師の診断を受けてから服用するようにしてください。クラリチンやアレグラなど日本と同じ薬品も購入できます。特に子どもの場合は、小児科で服用量や期間をきちんと相談します。

◇鼻出血について

花粉症の季節には鼻粘膜が充血して、鼻を強くかんだり、痒くてこすったりするために、鼻血が出やすくなります。

止血方法

①止血前に鼻をかんで、鼻腔内をきれいにしてください。
②小鼻の部分を、親指と人差し指で軽くつまんで圧迫してください。(4、5分)

予防の方法

寝る前に生理食塩水(例SPRAY LIBERNAR,TONIMER,PHISIOMERなど)を使って保湿、乾燥を防いでください。
数日間OLIO VEAなどのクリームで鼻粘膜をしっとりさせてください。
かぜやアレルギーのため鼻炎をおこしているときには、特に有効です。

◇鼻洗いについて

帰宅後、手や顔をよく洗い、鼻腔は、鼻洗用生理食塩水(例SPRAY LIBERNAR, TONIMER, PHISIOMERなど)を使って、花粉を流します。

スプレーの使い方は、頭を前に下げてやや右側を向き、左の鼻腔に1回噴射、左側を向き、右の鼻腔に1回噴射します。続けて、同じように2~3回繰り返します。この方法で1日3回、特に帰宅後には洗浄することをお勧めします。

◇花粉症と口腔アレルギー症候群

花粉症の人は、花粉と同じタイプのタンパク質を含む科の野菜や果物で、口腔粘膜にアレルギー反応を起こすことがあります。アレルギー反応は、口腔粘膜に限局する即時型アレルギーです。

主な花粉と交差反応性が報告されている果物・野菜

シラカンバ花粉症

  • バラ科(リンゴ、西洋ナシ、サクランボ、モモ、スモモなど)
  • セリ科(セロリ、ニンジン)
  • マタタビ科(キウィ)
  • カバノキ科(ヘーゼルナッツ)
  • シシトウガラシなど

スギ花粉症

  • ナス科(トマト)

ヨモギ  

  • セリ科(セロリ、ニンジン)
  • ウルシ科(マンゴ)、スパイスなど

イネ科

  • ウリ科(メロン、スイカ)
  • ナス科(トマト、ポテト)
  • マタタビ科(キウィ)
  • ミカン科(オレンジ)
  • 豆科(ピーナッツ)など

ブタクサ  

  • ウリ科(メロン、スイカ、ズッキー二、キュウリ)
  • バショウ科(バナナ)など

プラタナス

  • カバノキ科(ヘーゼルナッツ)
  • バラ科(リンゴ)
  • レタス、トウモロコシ
  • 豆科(ピーナッツ、ひよこ豆)など

 

小児アレルギー科のあるミラノ市内の主な病院

アナフィラキシー反応などの緊急時も、小児アレルギー科のある下の病院の救急に行くことをお勧めします。夜間休日にはアレルギー科専門医はいないことが多いですが、その後通院や入院になると同じ病院で受診できます。

ospedale allergologia

乳児も受け入れてくれる病院は少なく、保険内診療で外来予約は待ち日数が3か月以上のこともあります。個人開業医や医療機関のプライベート診療であればスムーズに診てもらえます。
日本語サポート

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